第1章 計画策定にあたって
計画の背景と目的
「第5次大阪府障がい者計画」は、急速に進む少子高齢化、地域社会の変化、障がい者を取り巻く課題の複雑化・多様化を背景に策定されました。障がいのある人々が社会で直面する困難は、福祉や医療だけで解決できるものではなく、地域全体の連携と支援が必要です。本計画では、障がい者が自立し社会参加できる環境を整えることを目指し、持続可能な社会の構築に貢献することが目的とされています。
計画は2021年から2025年までの5年間を対象期間とし、SDGs(持続可能な開発目標)を指針に、誰一人取り残されない社会の実現を掲げています。また、障がいの種類や程度に関わらず、すべての人が安心して暮らせる環境を作るため、包括的な施策を展開しています。
第2章 基本的な視点
基本理念と基本原則
「第5次大阪府障がい者計画」は、「すべての人間(ひと)が支え合い、包容され、ともに生きる自立支援社会づくり」を基本理念としています。この理念は、障がいの有無に関わらず、すべての人が平等に尊重され、それぞれの個性や能力を最大限に発揮できる社会を築くことを目指したものです。共生社会の実現に向け、大阪府は以下の5つの基本原則を掲げ、それに基づいた具体的な施策を展開しています。
(1)障がい者差別・虐待の防止、命と尊厳の保持
障がい者が権利の主体として、 いつ、 いかなるときにおいても人間(ひと)としての尊厳を保持できる差別のない社会の構築に一層取り組んでいきます。 また、 本人をはじめ社会から孤立した家庭や親をフォロ ーし、 適切な支援につなぐことにより、 障がい者虐待の防止に向けた取組みを進めていきます。
(2)多様な主体の協働による地域づくり
多様化する障がい者ニーズに対応し、 障がい者の自立と社会参加を実現していくため、 行政、 障がい当事者や家族、 府民、 事業者、 NPO、 地域団体など多様な主体の参画と協働により障がい者施策を推進していく地域を育んでいきます。
(3)あらゆる分野における大阪府全体の底上げ
大阪府や市町村が連携を強化し、 あらゆる地域で支援を行き届かせるとともに、 事業所間での連携を図りつつ、 地域や多様な主体が切磋琢磨し、 あらゆる分野でサー ビス水準を向上させ、 支援の質を高めていきます。
(4)合理的配慮によるバリアフリーの充実
依然として障がい者に対する差別·偏見が存在しているため、 今後も障がい特性を勘案した合理的配慮の周知啓発を図るとともに、社会的障壁の除去に向け、ハー ド面 ・ソフト面でのバリアフリーの充実に努めていきます。
(5)真の共生社会・インクルーシブな社会の実現
障がいの有無に関わらず、 それぞれの個性と差異と多様性が尊重され、 人格を認め合う「共生社会」、 そして、障がい者が社会の構成員として分け隔てられることなく地域社会でともに自立し支えあう社会(インクルー シブな社会)の実現を追求していきます。