第2期ひょうご障害者福祉計画≪第2章:兵庫県がめざす姿≫(2/3)

障害福祉

ひょうご障害者福祉計画の概要

画の目的と基本理念
「ひょうご障害者福祉計画」は、兵庫県内の障害者福祉施策を体系的に推進し、障害者が地域社会の中で自立した生活を送るための環境を整えることを目的とした基本指針です。この計画の根幹にあるのは、「誰もが共に支え合い、暮らす共生社会」の実現であり、これは県の長期ビジョン「ひょうごビジョン2050」にも繋がっています。この計画では、令和4年度から令和8年度を対象期間とし、福祉、医療、雇用、地域安全、教育といった幅広い分野における施策を通じて、持続可能な地域社会の形成を目指します。

国の障害福祉政策と歴史的背景

戦後の措置制度から利用契約方式への転換
日本の障害者福祉制度は、戦後の措置制度に始まりました。この制度では地方公共団体が給付を決定する一方で、利用者の主体的な選択や意志が反映されにくいという課題がありました。しかし、平成12年の「社会福祉基礎構造改革」により、「個人が人としての尊厳をもって生きる」ことを重視し、自己選択や自己決定を可能にする仕組みへと転換されました。これにより、平成15年度には障害福祉サービスが措置制度から利用契約方式に移行し、利用者のニーズに応じた支援費制度が導入されました。

障害者自立支援法とその課題
平成18年に施行された「障害者自立支援法」では、身体障害、知的障害、精神障害の3障害を統合的に支援する枠組みが整備されました。この法律では、障害者が地域社会で生活するための就労支援や移行支援が強化されましたが、利用者負担の導入によって低所得者層に過剰な負担が生じ、事業者の経営基盤が弱体化するという問題が発生しました。このため、激変緩和を目的とした支援策が順次講じられました。

障害者総合支援法の施行
平成24年には「障害者総合支援法」が制定され、翌年施行されました。この法律は、「人権の尊重」「地域共生」「社会参加の推進」「社会的障壁の除去」を基本理念としています。また、難病患者が障害者の範囲に含まれるようになり、支援基準もより柔軟で多様なニーズに対応するものへと改定されました。

兵庫県の取り組みと未来への展望

兵庫県が目指す共生社会の実現
兵庫県の「ひょうごビジョン2050」において描かれる未来像は、「誰もがともに支え合って暮らす共生社会」です。この社会では、障害の有無にかかわらず、すべての人々が日常生活の中で自然に交流し、支え合う風景が当たり前になります。この理念を実現するため、「ひょうご障害者福祉計画」では、障害者が地域で安心して生活できるための包括的な支援施策が展開されています。これには、福祉サービスの充実、雇用支援、医療との連携、生活基盤の整備などが含まれます。

計画の重点分野と具体的施策
1. 就労支援
障害者が地域で働く機会を広げるための支援が強化されています。企業との連携を図り、合理的配慮の促進や職場環境の整備が進められています。また、障害者がスキルを活かして就労できるよう、職業訓練やキャリア形成支援も重要な柱とされています。
2. 地域生活支援
障害者が施設から地域社会へ円滑に移行できるよう、居住環境の整備や生活支援の強化が図られています。地域のボランティア団体や福祉施設との連携により、孤立を防ぎ、コミュニティの中で自立生活を送るための支援が提供されます。
3. 医療と福祉の連携
障害者が必要な医療サービスをタイムリーに受けられるよう、医療機関と福祉施設の連携が進められています。特に、障害特性に応じた個別対応が可能な体制の構築が求められています。
4. 経済的負担の軽減
利用者負担を軽減し、障害者が必要な福祉サービスを制限なく利用できるよう、支援費や助成金の充実が進められています。
5. 福祉事業者への支援
サービス提供者である福祉事業者に対して、経営基盤の強化を目的とした助成や支援制度が整備されています。これにより、安定した福祉サービスの提供が可能となります。

今後の課題と展望

社会全体の意識改革
共生社会の実現には、障害者に対する偏見や差別の解消が必要です。地域社会全体での意識改革を進め、障害者が自然に受け入れられる風土を醸成することが求められます。

持続可能な支援体制の確立
人口減少や高齢化の進展を背景に、持続可能な福祉サービス提供の仕組みを整備する必要があります。これには、行政、地域住民、企業の連携が欠かせません。

柔軟な施策の導入
社会情勢の変化や新たな課題に対応できるよう、計画の見直しや柔軟な対応が求められます。

まとめ

「ひょうご障害者福祉計画」は、障害者が地域社会で自立し、尊重される共生社会の実現を目指した包括的な指針です。国の政策の変遷を踏まえつつ、兵庫県独自の視点から福祉サービスを進化させる取り組みがなされています。計画の実現には、行政、地域住民、企業が一体となり、共生の理念を共有し、持続可能な社会の形成を目指すことが必要です。今後、この計画が地域社会の中でどのように成果を生み出すかが注目されます。