はじめに:増え続ける「おひとりさま」と終活の課題
近年、日本では単身世帯が急増しており、生涯未婚率も上昇傾向にあります。「おひとりさま」として人生を歩む方が増える中、終活における課題も多様化しています。
特に身寄りのない方にとって、「自分が亡くなった後、財産はどうなるのか」「お世話になった人に感謝を伝えたい」といった想いをどう実現するかは、非常に重要なテーマです。
この記事では、行政書士として多くの終活相談に携わってきた経験をもとに、身寄りのない方が安心して人生を締めくくるために必要な知識と準備について、わかりやすく解説します。
遺言書がないとどうなる?財産は「国」に渡る現実
相続人がいない場合の財産の行方
民法では、亡くなった方に相続人がいない場合、その財産は最終的に「国庫」に帰属すると定められています。
つまり、遺言書を作成せずに亡くなった場合、どんなに「この人に残したい」という想いがあっても、法律上その想いは実現されず、財産は国のものになってしまうのです。
特別縁故者への財産分与制度はあるが…
「特別縁故者」という制度を使えば、生前に特別な関係にあった人が財産を受け取れる可能性もあります。しかし、この制度を利用するには家庭裁判所への申立てが必要で、手続きは複雑で時間もかかります。
何より、確実に財産を渡せる保証はありません。
だからこそ、「遺言書」という法的に確実な方法で、自分の意思を明確にしておくことが大切なのです。
遺言書で実現できる「想いの形」
あなたの想いを確実に届ける法的な力
遺言書には法的な効力があり、以下のようなことを実現できます。
✅ 特定の人に財産を残す
血縁関係がなくても、お世話になった友人、姪や甥、介護してくれた方などに財産を遺贈できます。
✅ 慈善団体や NPO への寄付
動物愛護団体、社会福祉法人、研究機関など、自分が応援したい団体に財産を寄付できます。
✅ 財産の使い道を指定する
「この資金は〇〇のために使ってほしい」といった具体的な希望を記載することも可能です。
✅ 相続トラブルの防止
遺言書があることで、親族間の争いや財産の行き先をめぐるトラブルを未然に防げます。
遺言執行者の重要性:想いを実現する「実行役」
遺言執行者とは?
遺言書を作成しただけでは、まだ不十分です。
遺言の内容を実際に実行してくれる「遺言執行者」の存在が不可欠です。
遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容を具体的に実現する役割を担う人のことです。
具体的には、以下のような業務を行います。
- 財産目録の作成
- 不動産の名義変更手続き
- 預貯金の解約・払戻し
- 遺贈の実行
- 相続人への財産分配
遺言執行者が認知症になったらどうなる?
ここで注意したいのが、遺言執行者自身が高齢で、認知症などにより判断能力を失ってしまうケースです。
遺言執行者が職務を遂行できない状態になると、遺言の執行が停止してしまい、相続手続きが滞ってしまうリスクがあります。
専門家を遺言執行者に指定するメリット
だからこそ、信頼できる専門家(行政書士、弁護士、司法書士など)を遺言執行者に指定することをおすすめします。
専門家に依頼するメリットは以下の通りです。
✅ 法律知識と経験が豊富
複雑な相続手続きもスムーズに進められます。
✅ 中立的な立場で公平に執行
親族間の感情に左右されず、公正に遺言を実行します。
✅ 長期的に安定したサポート
法人や事務所として継続的に対応できる体制があります。
✅ 確実な執行
専門家が責任を持って最後まで遺言内容を実現します。
身寄りのない方が今すぐできる終活準備
ステップ1:財産の整理と確認
まずは、ご自身の財産を整理しましょう。
- 預貯金(銀行口座、ゆうちょ銀行など)
- 不動産(土地、建物、マンションなど)
- 有価証券(株式、投資信託など)
- 貴重品(貴金属、美術品など)
- 負債(ローン、借入金など)
財産目録を作成しておくと、遺言書作成時や相続手続きの際に非常に役立ちます。
ステップ2:「誰に」「何を」残したいかを明確にする
次に、財産をどう分配したいかを考えます。
- お世話になった親族や友人
- 介護や支援をしてくれた方
- 応援している団体や NPO
- 母校や研究機関
具体的に「誰に」「何を」「どれくらい」残したいのかをリストアップしましょう。
ステップ3:遺言書の作成
遺言書には主に3つの種類があります。
① 自筆証書遺言
自分で手書きで作成する遺言書。費用はかかりませんが、形式不備で無効になるリスクがあります。
② 公正証書遺言
公証役場で公証人が作成する遺言書。法的に最も確実で、紛失や改ざんの心配もありません。
③ 秘密証書遺言
内容を秘密にしたまま、存在だけを公証人に証明してもらう方式。実務上はあまり利用されていません。
おすすめは「公正証書遺言」です。
専門家のサポートを受けながら、法的に確実な遺言書を作成できます。
ステップ4:遺言執行者の指定
遺言書には必ず「遺言執行者」を指定しましょう。
信頼できる専門家に依頼することで、確実に遺言内容が実現されます。
ステップ5:任意後見契約の検討
将来、認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、「任意後見契約」を結んでおくことも有効です。
任意後見契約とは、元気なうちに信頼できる人や専門家と契約を結び、将来判断能力が不十分になった際に、財産管理や生活支援をしてもらう制度です。
エンディングノートと遺言書の違い
終活の準備として「エンディングノート」を書く方も増えていますが、エンディングノートと遺言書は全く別物です。
エンディングノートとは
エンディングノートは、自分の想いや希望を自由に書き留めるノートです。
- 葬儀の希望
- 連絡してほしい人のリスト
- ペットの世話
- 大切な人へのメッセージ
など、法的な拘束力はありませんが、家族や関係者にとって貴重な情報源となります。
遺言書との決定的な違い
エンディングノートには法的効力がありません。
そのため、財産の分配など法的な効力が必要な事項については、必ず「遺言書」で明記する必要があります。
理想の終活準備
エンディングノートで想いや希望を記録し、遺言書で法的に必要な事項を明確にする。
この両方を準備することで、より安心な終活が実現できます。
「まだ早い」は危険!今から始める終活のススメ
元気なうちにこそ準備を
「まだ早い」「もう少し先でいい」と考える方も多いのですが、実は終活は元気なうちにこそ始めるべきです。
判断能力がしっかりしているうちでなければ、法的に有効な遺言書は作成できません。
また、認知症が進行してからでは、任意後見契約も結べなくなってしまいます。
終活は「人生の総決算」
終活は決してネガティブなものではありません。
むしろ、自分らしい人生の締めくくり方を考え、大切な人への感謝を形にする、前向きなプロセスです。
- 自分の人生を振り返る
- これまでの感謝を伝える
- 残される人への思いやりを形にする
- 自分の意思で未来を設計する
こうしたプロセスを通じて、より充実した人生を送ることができるのです。
行政書士に相談するメリット
終活の専門家としてのサポート
行政書士は、遺言書作成や相続手続きの専門家です。
身寄りのない方の終活についても、豊富な経験と知識でサポートいたします。
行政書士ができること
✅ 遺言書作成のアドバイスと文案作成
✅ 公正証書遺言作成時の証人
✅ 遺言執行者への就任
✅ 任意後見契約のサポート
✅ 財産目録の作成支援
✅ エンディングノートの書き方アドバイス
安心して相談できる身近な専門家
行政書士は「街の法律家」として、皆さまの身近な存在です。
敷居が高いと感じる必要はありません。
初回相談は無料で対応している事務所も多いので、まずは気軽にご相談ください。
まとめ:あなたの想いを、確実に未来へ
身寄りのない方でも、遺言書と遺言執行者をきちんと準備すれば、自分の想いを確実に未来へ届けることができます。
大切なのは、
✅ 遺言書を作成すること
✅ 信頼できる遺言執行者を指定すること
✅ 元気なうちに準備を始めること
この3つです。
終活は、残される人への最後の優しさであり、自分自身の人生を締めくくる大切なプロセスです。
「まだ早い」と思わず、今日から一歩を踏み出してみませんか?
ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽に行政書士までお問い合わせください。
あなたの想いを、確実に形にするお手伝いをさせていただきます。
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