遺言書保管制度がオンライン対応へ|2026年2月からの新制度を徹底解説

遺言・相続

はじめに:遺言書保管制度の「不便」が解消される

「せっかく予約して法務局に行ったのに、書式が違うと言われて出直しになった」

自筆証書遺言書保管制度を利用した方の中には、こんな経験をされた方も少なくありません。

2020年7月に始まったこの制度は、自分で書いた遺言書を法務局が安全に保管してくれる画期的な仕組みです。しかし、いざ利用しようとすると、「当日になって不備が見つかる」「手続に時間がかかる」といった課題がありました。

そんな中、2026年2月2日から、遺言書保管制度にオンライン事前審査が導入されました。

この記事では、新しく始まったオンライン手続の内容と、利用するメリット、注意点を徹底的に解説します。


2026年2月2日、何が変わった?

オンライン事前審査の導入

これまでの遺言書保管制度では、予約した日に法務局へ出向き、その場で書類の形式チェックを受ける必要がありました。

しかし今回の改正により、来庁前にメールで書類を提出し、事前に形式審査を受けられるようになりました。

対象となる手続

オンライン事前審査の対象は、「自筆証書遺言の保管申請」です。

以下の書類を事前にメールで送ることで、法務局が形式面をチェックしてくれます。

  1. 遺言書の写し
  2. 添付書類(住民票の写し、身分証明書のコピー等)
  3. 保管申請書

チェックが完了したら、来庁予約をして法務局へ。当日は形式面のチェックが済んでいるため、スムーズに手続が完了します。

試行実施中の法務局

現在、この制度は試行段階で、全国すべての法務局で利用できるわけではありません。

対応しているのは、39都道府県・68の遺言書保管所です(2026年2月時点)。

詳しくは法務省のホームページで確認できます。


オンライン事前審査の5つのメリット

メリット①:当日の不備リスクを大幅削減

従来は、当日になって「日付の書き方が違います」「押印が抜けています」と指摘され、出直しになるケースがありました。

事前審査を受けることで、こうした形式的な不備を事前に修正でき、当日の手続がスムーズに進みます。

メリット②:手続時間の短縮

事前に書類がチェック済みであれば、当日の審査時間が短縮されます。特に、仕事の合間に法務局へ行く方にとっては、大きな時間的メリットです。

メリット③:遠方からの来庁者に優しい

遺言者の本籍地や不動産所在地の法務局を選ぶ場合、遠方から来庁する必要があることも。事前審査により、「わざわざ遠くまで行ったのに出直し」という事態を防げます。

メリット④:心理的な安心感

「ちゃんと書けているか不安…」という気持ちを抱えたまま法務局に行くのは、精神的にも負担です。事前にチェックを受けることで、安心して当日を迎えられます。

メリット⑤:専門家との連携がしやすい

行政書士などの専門家に依頼している場合、事前審査の段階で書類を確認してもらうことで、より確実な手続が可能になります。


オンライン事前審査の利用方法

ステップ①:遺言書を作成する

まずは、自筆証書遺言を作成します。

自筆証書遺言の要件

  • 全文を自筆で書く(財産目録はパソコン可)
  • 日付を明記する
  • 氏名を自署する
  • 押印する

※遺言書の書き方については、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

ステップ②:必要書類を準備する

事前審査に必要な書類は以下の通りです。

  1. 遺言書の写し(PDF等)
  2. 住民票の写し(本籍・筆頭者記載あり、マイナンバー記載なし)
  3. 身分証明書のコピー(運転免許証、マイナンバーカード等)
  4. 保管申請書(法務省HPからダウンロード可能)

ステップ③:メールで事前審査を申し込む

対応している法務局に、メールで書類を送信します。

送信先のメールアドレスや具体的な手順は、法務省のホームページまたは各法務局のサイトで確認してください。

ステップ④:法務局から審査結果を受け取る

法務局が形式面をチェックし、問題がなければ「事前審査完了」の連絡が届きます。

もし不備があれば、修正箇所を指摘してもらえます。

ステップ⑤:来庁予約をして法務局へ行く

事前審査が完了したら、来庁予約をします。

予約した日時に法務局へ出向き、以下を持参してください。

  • 遺言書の原本(ホチキス止めなし、封筒不要)
  • 保管申請書
  • 住民票の写し(原本)
  • 身分証明書(原本)
  • 手数料3,900円分の収入印紙

ステップ⑥:保管証を受け取る

手続が完了すると、「保管証」が交付されます。保管証には、遺言者の氏名、生年月日、法務局名、保管番号が記載されています。

この保管証は再発行できないため、大切に保管してください。


注意点とよくある誤解

注意点①:「試行」であり、全国すべてで利用できるわけではない

現時点では、39都道府県・68の遺言書保管所でのみ試行されています。お住まいの地域の法務局が対応しているか、事前に確認しましょう。

注意点②:事前審査は「形式面」のみ

事前審査でチェックされるのは、あくまで「形式が整っているか」という点です。

「内容が法的に有効か」「相続トラブルを防げる内容か」といった点は審査されません。

注意点③:最終的には本人が来庁する必要がある

事前審査はオンラインで行えますが、最終的な保管申請は本人が法務局に出向く必要があります。

代理人による申請や、完全オンライン化はまだ実現していません。

注意点④:遺言書の「内容」は専門家に相談を

形式が整っていても、内容に問題があれば遺言書は無効になったり、相続トラブルの原因になったりします。

遺言書の内容については、行政書士や弁護士などの専門家に相談することを強くおすすめします。


従来の手続との比較

項目従来の手続オンライン事前審査
書類チェック来庁時にその場で事前にメールで
不備発覚時当日に指摘→出直し事前に指摘→修正可能
手続時間長い(30分〜1時間)短縮される
安心感当日まで不安事前に確認済みで安心
対応法務局全国すべて39都道府県・68箇所(試行)

こんな人におすすめ

✅ 法務局に行く時間が限られている方
✅ 遠方の法務局を利用する予定の方
✅ 自分で書いた遺言書が形式的に大丈夫か不安な方
✅ 一度で確実に手続を終わらせたい方
✅ 専門家と連携しながら手続を進めたい方


行政書士ができるサポート

私たち行政書士は、遺言書作成から新しいオンライン手続の利用まで、トータルでサポートしています。

具体的なサポート内容

  • 遺言書の内容相談・文案作成
  • 法的に有効な遺言書になるようリーガルチェック
  • 事前審査用書類の準備・作成支援
  • メール送信のサポート
  • 法務局への同行
  • 相続開始後の遺言執行サポート

「何から始めればいいかわからない」という方でも大丈夫です。一緒に、あなたの想いを形にしていきましょう。


デジタル化の未来:完全オンライン化への道

今回のオンライン事前審査は、あくまで「第一歩」です。

将来的には、以下のような完全オンライン化が期待されています。

  • ビデオ通話による本人確認
  • 電子署名による遺言書作成
  • 完全非対面での保管申請

特に、2026年1月に法制審議会がまとめた要綱案では、「デジタル遺言書」の導入が検討されています。パソコンやスマホで遺言書を作成し、オンラインで保管申請できる時代が、すぐそこまで来ているのです。

行政のデジタル化が進む中、相続・終活の分野も大きく変わろうとしています。


まとめ:制度の進化を味方につけよう

2026年2月2日から始まったオンライン事前審査は、遺言書保管制度をより使いやすくする重要な一歩です。

「二度手間を防ぎたい」「安心して手続を進めたい」という方にとって、大きなメリットがあります。

ただし、形式面のチェックだけでは不十分です。遺言書の内容が法的に有効で、ご家族が納得できるものになっているか。それを確認するためには、やはり専門家のサポートが欠かせません。

制度は進化しています。あなたの想いを、確実に大切な人へ届けるために、最新の制度と専門家の知識を活用してください。

▼参考記事(司法書士事務所エンパシー)
https://s-empathy.com/2026/02/遺言書保管制度のオンライン手続の試行/

▼法務省:オンライン手続の試行について(PDF)
https://www.moj.go.jp/MINJI/common_igonsyo/pdf/jizenkakunin.pdf

▼法務省:自筆証書遺言書保管制度について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html